救急車の有料化を考える【年間出動数・不適切利用】

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以前、ERで実習をしていたら、

呼吸困難で真っ青になっている人、泡をふいて痙攣している人、交通外傷で血だらけの人などの対応で忙しくしている時に、

コンタクトレンズが取れなくなった

という理由で救急車で搬送されてきた人がいました。

先生たちも苦笑いしていましたが、あとで「こういった患者はよく来るのか」と聞いたところ

タクシー代わりに救急車を呼ぶ人

待ち時間が嫌だから救急車を呼ぶ人
が結構多いとのこと。

(忙しい状況を見てコンタクト取れなくてやってきた人も流石に気まずいと思ったのか、来た時はしてなかったのに目を手で押さえて重症感出してる様な気がしました笑)

救急車を不適切利用する人を減らす方法として有料化があります。

有料化について調べてみました。

目次
・年間救急車出動数・搬送数
・不適切利用の影響
・有料化すべきか
・有料化のメリット/デメリット
・有料化案
・自分の考え

年間救急車出動搬送数
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平成29年度の救急車による救急出動件数は634万2,147件(前年比で13万2,183件増、2.1%増)、
搬送人員は573万6,086人(前年比で11万4,868人増、2.0%増)でした。

(※参考 「総務省 平成30年度版 救急救助の現状」)

救急出動件数、搬送人員ともに過去最多で、救急車は5.0秒に1回出動していることになります。

高齢化に伴い、今後も救急車の利用は増え続ける見込みです。

不適切利用の影響
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不適切な救急車の利用は以前から問題になっています。

救急車の数は限られていて、不適切な理由の出動要請は本当に救急搬送を必要としている人の迅速な対応の妨げになります。

また、搬送不要な患者でも搬送されてきたら診察義務が発生するため、
医療スタッフの数は限られている中で(特に夜間)その対応しなければならず、重症な患者の診療の妨げ医療スタッフ・勤務医疲弊の要因の一つとなります。

不適切な救急車の利用の原因の一つとして、救急車が無料であることが挙げられます。

有料化すべきか

日経ビジネスが医師3879人にアンケートを行った結果、9割の医師は有料化を支持していることがわかりました。

回答した3879人の医師のうち、47.6%の医師が「救急車を要請した事案全てを有料化すべき」と答え、「搬入後に軽症と診断された場合は料金を請求すべき」とした39.0%を合わせると、約9割の医師が救急車の有料化を支持している実態が明らかになった。

(参考 https://business.nikkei.com/atcl/report/16/030200012/111600021/

海外の先進国の多くは救急車の利用が有料です。

海外の救急車が有料か無料かについて過去に書いたので↓をご覧ください

海外って救急車は無料?有料?

有料化メリット・デメリット

<メリット>
不適切な利用者が減る
不適切な利用をする大きな原因は「無料だから」という考え方。

無料タクシーがとして使ったり、無料で待ち時間が短くなるから救急車を呼ぶ人がいる。

予算軽減
1回の救急搬送でかかる費用は約4万5000円と言われており、1年で約573万人を搬送しているので大きな負担となっています。

しかも税金で賄われている。

<デメリット>
アクセス性の低下
節約家やお金がない人が重症なのに我慢して呼ばなくなる

逡巡することで重症化してしまう。逆に、お金を払っているからと開き直って乱用しまくる人が増える可能性も。

基準設定が難しい
倒れている人を第三者が見つけ救急車を呼んだ場合は誰が支払うのか。軽症者のみ有料化する場合は、軽症のラインをどこで引くか。などなど

大多数にとって迷惑
救急車を不適切に利用しているのは一部の人たちであり、圧倒的大多数の正しい利用をしている人たちまでに負担を強いることになってしまう。

有料化案
一律有料化
救急車を利用した場合、重症軽症関わらず一律有料化する方法です。
一部有料化のデメリットがなくなりますが、重症の患者でも有料になることで善意の利用者まで負担を強いることになってしまいます。

一部有料化
軽症と診断された場合に請求する方法などがあります。
救急車を正しく利用している人達には金銭的負担を強いることなく、不適切な利用者を減らすことができます。
しかし、軽症か否か判断する現場に圧力がかかる可能性があります。「軽症ってことにしろ!」と医者につめよる患者とか絶対にでてきますよね。重症か軽症か揉めている間に重症化してしまうかもしれません。
重症感出すために意地でも帰らずにベットを占領する人も出てきそうですよね。


自分の考え

僕は、「救急車を利用した場合は一律有料で、あらかじめ決めておいたいくつかの重症疾患に該当する場合や病院到着時に死亡している場合は、あとで役所で申請すれば返金対応する」制度がいいんじゃないかと考えています。

これ以上医療スタッフのボランティア精神に頼り続けるのと救急医療が崩壊してしまいます。
「無料タクシーだから~」とか「待ち時間短くなるから~」などの自己中心的な人たちを見ないふりをして、
性善説に頼り続けるのは限界ではないでしょうか。
少なくとも移動手段としての費用(3000円くらい)は請求すべきだと思います。
医療側に責任が問われるのと同様に、利用者側にも一定の責任を負わせるべきではありませんか?

不適切な救急車利用はしちゃダメだよと啓蒙活動をしていくことも大事ですよね。

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